03. 1月 2012 · (62) 新年と音程 はコメントを受け付けていません。 · Categories: 聖フィル♥コラム · Tags: , , ,

みなさま、どのような新年をお迎えでしょうか。すべての人にとって、2012年が昨年より良い年となりますように!

今回は「新年と音程」という不思議なタイトルですが、この2つがどのように結び付くのか、ご説明しましょう。私たちにとって1月1日=新年ですが、西欧では6世紀以来、1月1日はイエスの割礼記念日として祝われました。旧約聖書(創世記17)に書かれたように、ユダヤ教徒の男子は生後8日目に割礼を受けるからです1

また、かつてローマ・カトリック教会では、1月1日にクリスマスの「オクターヴ」の典礼を行っていたそうです。「オクターヴ」はラテン語で8番目という意味の octavus に由来し、8日間その祝日を記念すること。つまり1月1日は、クリスマスを祝う最終日に当たっていたのです2

この8日目という数え方、おもしろいと思いませんか? クリスマス当日から数えるのです。日本では、12月25日に赤ちゃんが生まれたら、1月1日(の夜)はお七夜ですよね。これで思い出したのが、音程の数え方です。

音程とは、2つの音の高さの隔り。たとえばドとその隣の隣のミの音程は3度、ドとソの音程は5度、ドと次のドの音程は8度=1オクターヴです。音楽に携わる者にとっては常識ですが、一般の方には、「ドから隣のレまで行って 1 ではなくドにいるときに既に 1 なので、ドとレの関係は2度」と説明しなければなりません。同じ高さのドとドの関係を1度と呼ぶためだろうかなどと思っていたのですが、1月1日をクリスマスから8日目=オクターヴと数えるのと同じ! 音程だけ特別というわけではありませんでした。ユダヤ教の地域や南ヨーロッパでこのような数え方をするようです。

「風が吹くと桶屋が儲かる」風タイトルの説明はこれくらいで。新年を祝うために作られた西洋音楽はあまりありません((9)(10)参照)が、日本音楽が専門の友人に尋ねたら、たちどころにお正月にちなむ長唄《初子の日》《若菜摘》を教えてくれました3。長唄とは、劇場音楽として歌舞伎とともに発展した、三味線の伴奏による声楽。街に箏の音が満ちるこの時期、日本の伝統文化も忘れないでください。今年も、聖フィル♥コラムをよろしくお願いいたします。

  1. カトリックでは、1931年にピウス11世が1月1日を神の母聖マリアの祭日に変更するまで、主の御割礼の祝日と呼ばれていました。
  2. 八木谷涼子『キリスト教歳時記』(平凡社新書、2003)、56-8ページ。西暦で新年が1月1日になったのはヨーロッパでは16世紀以降、イングランドでは1752年のことだそうです。
  3. austin787さんの情報に感謝いたします。