26. 1月 2012 · (65) グレゴリオ聖歌はいくつあるのか はコメントを受け付けていません。 · Categories: 聖フィル♥コラム · Tags: , , , ,

「アマ・オケ奏者のための音楽史」第4回は、中世の音楽実践についてです。すべてがキリスト教によって支配されていたこの時代。音楽が、ムジカ・フマーナとかムンダーナとか((63) 音楽は数学だった ?! 参照)、理論ばかりだったわけではありません。教育機関では、神に捧げる音楽であるグレゴリオ聖歌を歌ったり作ったりする訓練も行われていました。

グレゴリオ聖歌は、カトリック教会の強化と典礼改革を行った教皇グレゴリウス1世(在位590〜604)にちなむ、いわばニックネーム。正式名称は「ローマ聖歌(カントゥス・ロマーヌス)」といいます。ヨーロッパ各地で用いられていた異なる聖歌の中で、8世紀にローマ教皇によって正式に認められた聖歌という意味です。特徴は:

  • 主旋律のみ(単旋律、あるいはモノフォニーと呼ばれる)
  • 伴奏:無し
  • 歌い手:男性(女子修道院などは例外)
  • 歌詞:ラテン語(多くは聖書から)
  • 8種類の教会旋法(モード)に分類されている
  • 現在も使われている

グレゴリオ聖歌は全部でいくつあるのか、私にはわかりません(ご存知の方がいらしたら、教えてください)。でも、膨大な数であることは確かです。

たとえば、クリスマスとイースターはどちらもキリスト教徒にとってとてもうれしい日ですが、主の降誕と復活では、喜び祝う内容が全く異なります。同じ聖歌を捧げるわけにいかないのは明らか。それぞれに固有な式文(歌詞)を持つ聖歌が必要になります。教会暦ではほとんど毎日のように、クリスマスやイースターのようなイエス本人に関する祝祭日や、聖人を記念する日などが定められていますから、それぞれにふさわしい式文の聖歌が必要です。

また、歌われるのは1日1曲ではありません。主日(日曜日)や重要な祝祭日に行われるミサ以外に、日々の務めである「聖務日課」でも聖歌が歌われます。これは、修道院などで毎日8回(!)決まった時刻に捧げる祈り。毎回、異なる複数の聖歌が必要です。

20世紀の実用版グレゴリオ聖歌集とも言うべき『リーベル・ウズアリス』(ソレーム修道院編纂、1961年)を数えてみました。全1900ページの中で、クリスマスのミサと聖務日課のための聖歌に、50ページ近くが費やされています。そのうち「朝課」(聖務日課の中の、夜明け前の祈り)用に、20ページ1。巻末の索引には、タイトルがおよそ2300……2

以前は、膨大な数の聖歌がグレゴリウス1世によって集大成されたとか、一部は彼自身が精霊に満たされて作曲したと伝えられていました。現在では、アルプス以北で歌われていたガリア聖歌をもとに、長い年月をかけて整えられていったと考えられています。そして、このグレゴリオ聖歌がクラシック音楽のルーツになるのです。

  1. 私も持っている『グレゴリオ聖歌集大成』(キングレコード、20枚組、非常に詳しい解説書付き)の中の「CD 2:クリスマスの朝課」は、そのごく一部を収めています。
  2. この索引には、ミサ曲に使われる5部分((7) クリスマスに聴きたい音楽 part 2参照)などは含まれていません。インターネットで聖歌を検索できる Global Chant Datebase には、各種の変形版も含めて25000曲近い聖歌が収められているそうです。