23. 10月 2013 · (156) 入退場も音楽的に はコメントを受け付けていません。 · Categories: 聖フィル♥コラム · Tags:

招待状をいただいて聴きに行った大学オケの演奏会。演奏自体は悪くないのに、なんだか退屈。コンサートが進むうちに理由に気づきました。演奏者入場の流れが悪いのです。

上手と下手から1列に並んで入って来るのですが、出入り口が狭いのか、晴れ舞台で緊張しているのか、皆が席に着くまでに妙に時間がかかる。団員が着席した後コンマスが出て来るのに間、指揮者が出て来るのに間。このため、タクトが振り下ろされて音楽が鳴り出す前に、少しずつ「待たされてる」感が蓄積。それを毎回(3曲で3回)繰り返されて、最後はなんだか、音楽の流れまで重くなったように感じられました。

音大生オケの入場は、(授業の一貫ですから当然と言えば当然ですが)流れるようにスムーズ。ウインドアンサンブルの入場は、きびきびしていてさらに見事(吹奏楽コンクール経験者が多いせいかもしれません)。プロ・オケ団員は、席順などあまり構わずにばらばらと入って来ますが、次々にすっと席に着いてすっと静まって、すっと音楽が始まる感じ。もちろん、プロ・オケの場合、聴衆も演奏会に慣れている人が多く、曲の始まりを待つ体勢がごく自然にすばやくとれるのかもしれませんが、音が鳴り始める前にすでに流れが始まっているようです。

入場だけではありません。(47) 見る人は見ているで「入場は格好良く、決まっていたが、退場するときは気が抜けたように見えた」という学生さんのコメントを紹介しましたが、耳の痛い指摘ですよね。聖フィルで《G線上のアリア》をアンコールで演奏したとき、退場について打ち合わせすべきだったと感じたことがありました(指揮者が拍手無しで退場したのに、団員の中にはいつもと同じように「お疲れさまでした」などと話しながら退場する人がいたのです)。

冒頭の経験をして、コンサートは予鈴から始まっていると改めて考えさせられました。決して急ぐ必要はないものの、流れや間の悪い団員(コンマス、指揮者)入場は、コンサートのマイナス要因になる可能性があります。団員は、すっとステージに出てすっと座りすっと静まって、聴衆に「聴く」準備を促しつつ、なごやかに指揮者の入場を待つ。当たり前のことですが、舞台上の自然な流れが、音楽の良い流れにつながるのです。果たして聖フィルの入退場は、音楽的でしょうか。まずは自分が流れを乱さないように気をつけようと思います。

22. 9月 2011 · (47) 見る人は見ている はコメントを受け付けていません。 · Categories: 聖フィル♥コラム · Tags:

音楽史を教えている音大の学生さんたちに、オーケストラ・レポートを課しました。管弦打楽器の専攻生の多くは、中高時代の吹奏楽の部活がバックグラウンドです。オーケストラのために作曲された作品の吹奏楽アレンジはよく知っているのですが、逆に「《ローマの祭り》をオーケストラで聴いたら、なんか変でした〜!」なんて言ったりするのです1。教科書や講義に出てくる古典派・ロマン派の作曲家やその作品を、実際に「体験」して欲しいと考え、課題は「フル・オーケストラの演奏会に行き、オーケストラの編成と演奏曲目の関係を考察せよ。18世紀生まれの作曲家と19世紀生まれの作曲家の作品が含まれていること」としました2

音楽史面からの考察が目的ですが、それに加えて演奏会毎に自由に感想を書いてもらいました。すると、この感想の中に耳が痛い、あるいは思わず苦笑させられる指摘が続出! 聖フィルのみならず、他のアマ・オケの方にも参考になるのではと思い、彼らの許可を得て一部を紹介します。

プロの卵たちなので、演奏に関してシビアなのは当然です。

  • あまり背伸びし過ぎないで、実力や練習時間の実情を考慮した上で選曲すべきでは(大学オケの演奏会への感想。以下同様に、プロはプロ・オケ、一般は市民オケなどへの感想)
  • メインとサブの[演奏の]クオリティの差が無いようにすることも大切(一般)
  • 全員が[演奏することに]必死になってしまって、指揮者がせっかくたくさん表現しているのに、ほとんど見ていない感じがした(大学)
  • 個人が気持ち良さそうな人が多い。オケの中で自分の音が他の楽器と合わさる良さより、自分が吹いてます、弾いてますという感じが伝わってきた(一般)

しかし、演奏以外にも鋭い指摘が多いことに驚かされました。まず、ステージ・マナーについて:

  • コンマスの入場の仕方。へろへろ歩き、よろよろお辞儀。何となくオケの音が想像できた。そして予想が的中してしまった(大学)
  • 脚を少し目立つくらい動かしていた人がいて、気になった(一般)
  • ドレスを持ち上げて歩くとき、客席側を持ち上げていた(大学)
  • 入場は格好良く、決まっていたが、退場するときは気が抜けたように見えた(大学)
  • 協奏曲の独奏者がアンコール演奏する間、ヴァイオリンの人たちが暇そうだった(プロ)

プログラム解説について:

  • 「ピッコロの出番はこの1音のみなので、聴いてあげてください」「◯×響のランパルと呼ばれるフルート奏者が鮮やかに演奏いたします」など、なんとなく不快に感じてしまった(一般。フルート専攻生のコメント)
  • 書いた方の経験談や曲の面白いところを紹介し、最後に「この曲は単純だが元気な曲である」と書いてあって、聴きたい!と思った(一般)
  • 「役割分担されたから解説を書いている」という感じがちょっぴり出ているもの(大学)もあれば、「この曲についてもっと知って欲しい」というポジティヴなベクトルが出ているように感じられるもの(一般)もあった

スタッフについて:

  • スタッフの対応が悪過ぎてびっくり! あいさつも無ければ話をして盛り上がっているだけ(大学)
  • ドア担当がいなかったので、演奏中に出入りする人がいて気になった(大学)
  • アンケート回収ボックスや団員が、会場出口を塞いで大変混雑していた(一般)
  • 終演後、アンコール曲名の掲示を通路のど真ん中に置いていて、動線の確保が不十分だった(一般。マネージメントなどを目指す科の学生のコメント)

最後に、思わず笑ったコメント2つ:

  • 舞台に出てから一生懸命にネクタイを直している人がいて、出る前に裏でやって来なよーと思った(大学)
  • 1st の3プルト目あたりに、弾く時に全然動かない人がいたり、一方で(多分エキストラだと思うが)5プルトあたりで誰よりも激しく動く人がいて、それはちょっとなと思ったし、大して弾けなくても動いていると案外弾けているように見えるから、もっと動けば良いのにとも思った(大学。ヴァイオリン専攻生のコメント)

いえ、笑っている場合ではありませんね。皆さまも参考にしてください。

  1. レスピーギの《ローマの祭り》の吹奏楽用アレンジは、コンクールの自由曲の定番。私も高校時代に取り組んだことがあります。
  2. 考察の材料は多いほど良いが、プロ・オケを1つ以上含めるという条件もつけました。震災後の演奏会キャンセルなどで学生さんたちは苦労したようですが、期限までの約5ヶ月間に、計112人がのべ315の演奏会に行っていました。プロ・オケ1つだけという人もいる一方で、9つの演奏会へ行った人もいました(ちなみに、聖フィルのコンサートは含まれていません)。