20. 1月 2016 · (268) マンドリンの調弦は? はコメントを受け付けていません。 · Categories: 聖フィル♥コラム · Tags: ,

オケの弦楽器奏者のみなさま、弦楽器仲間マンドリンの調弦をご存じですか? 先日質問されたのですが、私、調弦はおろか弦の数も答えられませんでした。考えてみたら、西洋音楽史の講義でマンドリンに触れたのは、レスピーギの交響詩《ローマの祭》を教えたときくらい。撥弦楽器という以外何も知らないことに気づき、遅ればせながら調べてみました。

驚いたことに(赤面!)、マンドリンってヴァイオリンと同じソレラミに調弦するそうです(音域も同じ)。楽器の大きさもほぼ同じ(全長60cm)。ヴァイオリンと異なるのは:

  • 複弦。それぞれ2弦ずつ(2本1セットで1コース。マンドリンは8弦4コースという言い方をします)
  • 指板にフレットがあること
  • 弓や指ではなくピックで弾くこと。ピックはべっこうや合成樹脂の薄板。やや丸みを帯びたくさび形
  • 胴は、ご先祖リュートのような洋梨型(あるいは縦割りにしたイチジク型)。ギターのように構える
  • 響孔は円形や楕円形

現在のマンドリンは、1740年代初めにナポリで発達したナポリ型の系統。すぐにヨーロッパ中に広まり、1750〜1810年にはイタリアの奏者たちが各地でコンサートを催しました。パリの演奏会シリーズ、コンセール・スピリテュエルにもマンドリン演奏がしばしば登場。貴族たちにも流行しました。

マンドリンの人気が増すにつれて、オペラにマンドリン伴奏のセレナーデが登場するように。最も有名なのはモーツァルトの《ドン・ジョヴァンニ》第2幕〈Deh, vieni alla finestra(窓辺においで)〉。主人公がドンナ・エルヴィーラの侍女(端役!?も口説く!!)に歌う、「ドン・ジョヴァンニのセレナーデ」です。

でもここでは、先週のコラムで取り上げた今年没後200年のパイジェッロ((267) メモリアル・イヤーの作曲家参照)の代表作《セビリアの理髪師》第1幕から、アルマヴィーヴァ伯爵が身分を隠してロジーナに歌うカヴァティーナ〈Saper bramate(「とても知りたいなら」とでも訳すのでしょうか)〉をご紹介します。下の動画の前奏や間奏部分にマンドリン演奏が写っています。

マンドリンは19世紀に入ってからも南イタリア、特にナポリで広く演奏されました。でも、それ以外のヨーロッパの演奏会場や歌劇場からは、ほとんど完全に消えてしまいました。ベルリオーズは1843年に、パリのオペラ座でさえマンドリンが単なる小道具になり、上記ドン・ジョヴァンニのセレナーデがヴァイオリンのピッツィカート伴奏で歌われたと悲し気に記しているそうです1

  1. Tyler, James, ‘Mandolin,’ New Grove Dictionary of Music, 2nd ed., vol. 15. Macmillan, 2001, p. 742.

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