28. 10月 2015 · (257) メンデルスゾーンが作った交響曲はいくつ? はコメントを受け付けていません。 · Categories: 聖フィル♥コラム · Tags: ,

イ短調のいわゆる《スコットランド》が第3番、イ長調のいわゆる《イタリア》が第4番(以下「いわゆる」を省略。「いわゆる」が必要な理由は(214)「イタリア」ではなかった!!参照)。没後出版がもう1つ、《宗教改革》ニ短調。だから、第1番ハ短調、第2番《賛歌》変ロ長調と合わせて、メンデルスゾーンの交響曲は全5曲! これは、メンデルスゾーンの旧全集(1874〜77年刊行)に収められた交響曲の数。

でも、生誕200年の2009年に出版された『メンデルスゾーン作品総目録(Mendelssohn-Werkverzeichnis=MWV)』の、交響曲カテゴリーに収められた曲は、なんと19曲!!(表1参照1)。

なぜそんなに増えたの?!  それは、メンデルスゾーンが12〜15歳のときに作った、弦楽のための交響曲(シンフォニーア)13曲も含められたから。弦楽交響曲は、メンデルスゾーン生誕150年の1959年に東ドイツで刊行が始まった新全集に収められ、人々に知られるようになりました(ただ、この新全集は途中で頓挫。没後150年の1997年に、ようやく再開されました。書簡・日記・絵画なども含める大プロジェクトで、完結予定は半世紀後の2047年)。それ以外に、交響曲断片も2つ。これで15曲ですね。

あれれ、旧全集の5曲を加えて20曲のはずなのに、計19曲。抜けたのはどれ?? それは、交響曲第2番《賛歌》。独唱・合唱付きのこの曲、MWV では交響曲ではなく「大編成による宗教曲」に分類されました。旧全集では「独唱、合唱、オーケストラのための宗教声楽曲」に収められたのに、同じ頃にこれを交響曲第2番と見なす習慣が広まったようです2。ちなみに本人は「《賛歌》:聖書の言葉に基づく交響曲カンタータ Sinfonie-Kantate」と発表。「交響曲第2番」は後世の付与なので、MWVではタイトルから除かれました。同様に、没後出版の2交響曲のナンバリングと作品番号も除かれています。

というわけで、メンデルスゾーンの交響曲は全部で19曲。断片を除くと17曲。初期の習作が14曲、生前に出版したのは2曲となります。19世紀の旧全集に基づき100年以上続いて来た全5曲という「常識」を変えるには、長い時間がかかるでしょう。でも、メンデルスゾーンがかわいそうではなくなるように((256) かわいそうなメンデルスゾーン参照)、彼の意図を尊重し、それになるべく近い形で彼の音楽をもう一度捉え直していかなければと思います。

表1:メンデルスゾーンの交響曲(星野宏美「メンデルスゾーン:交響曲第3番イ短調作品56ミニチュア・スコア解説(音楽之友社、2010、vページ)

表1:MWVによるメンデルスゾーンの交響曲

  1. 星野宏美『メンデルスゾーン:交響曲第3番イ短調作品56、ミニチュア・スコア解説』音楽之友社、2010、vページ。表中の「 」は通称を示す。
  2. 同上。

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