23. 9月 2015 · (253) パッサカリア主題 in 第1楽章 ブラ4の秘密3 はコメントを受け付けていません。 · Categories: 聖フィル♥コラム · Tags: , , ,

構築型の作曲家ブラームス。彼が交響曲第4番に「わかる人だけわかる」ように組み込んだ「しかけ」を見つけるのは、わくわくします。バロック時代の形式パッサカリアで作られた終楽章は、実はソナタ形式とも考えられますし((251) ただのパッサカリアではない!参照)、第1楽章第1主題の冒頭を第4楽章の最後の方で使って、全体をまとめています((252) 第1楽章第1主題 in パッサカリア参照)。そのままの形ではなく変形して(むしろ、オリジナルの形と言うべきか)嵌め込んでいるので、すぐには気づきません。

第1楽章の主題が終楽章に登場するなら、終楽章の旋律も第1楽章に予示されているのではと考えるのが自然。8小節構造を厳格に守ったまま変奏が進む終楽章は、この交響曲最大の呼び物ですから。ところが、パッサカリア主題ミ−ファ♯−ソ−ラ−ラ♯−シ−シ−ミの予示が指摘されたのは、1998年(つい最近!!)になってから。クリスティアン・マルティン・シュミットによると、第1楽章の開始早々10小節目から、コントラバスとヴァイオリンによって示されます(譜例1参照)1

うーん……。半音進行の無視(13小節目後半のソ♯はともかく、11小節目のファと9小節目のレ♯が問題では??)や、途中でパートが移ることなど、どう考えるべきでしょうか??   予示が明らかになり過ぎないように、わざと半音を加えてカモフラージュしたのかな??  シ−シのオクターヴ進行もわざと逆に変えた??  いずれにしろ構築型ブラームスですから、偶然ではないことは確かでしょうが……2

第1楽章におけるパッサカリア主題の影響について、長い間研究されなかったのには、理由がありました。パッサカリアの元になったバッハのカンタータ150番《主よ、わが魂は汝を求め》((221) パッサカリアについて参照)が旧バッハ全集第33巻として出版されたのは、ブラームスが既に第1楽章を完成した後、1884年秋だったからです3。このため、旧全集刊行前からブラームスがこの曲を手稿譜の形で知っていた可能性が示唆されています。

譜例1:ブラームス作曲交響曲第4番第1楽章(第8〜21小節)

譜例1:パッサカリア主題 in 第1楽章(ブラームス作曲 交響曲第4番 第1楽章 第7〜20小節)

  1. 三宅幸夫『Brahms: Symphonie Nr.4 ミニチュア・スコア解説』音楽之友社、2004、viiiページ。
  2. 同上によると、Schmidt, Christian Martin, ‘Johannes Brahms: Sinfonie Nr. 4 eMoll op. 98,’ Johannes Brahms: Die SInfonien, ed. by Schubert, Giselher, Floros, Constantin, and Schmidt, Mainz, 1998, pp. 213-272.  私が務める音大の図書館には所蔵されておらず、現時点で原書を確認していません。
  3. 三宅、同上。

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