09. 9月 2015 · (251) ただのパッサカリアではない! ブラ4の秘密 はコメントを受け付けていません。 · Categories: 聖フィル♥コラム · Tags: , , , ,

第13回定期演奏会まで、1ヶ月足らず。今回のメイン・プログラムは、ブラームスの交響曲第4番(1884〜85年作曲)。彼のような構築型の作曲家の作品は、演奏するのも分析するのも楽しいものです。

この交響曲終楽章の出発点である J. S. バッハのカンタータは、既に(221) パッサカリアについてでご紹介しました(これを書いたときは、まさかすぐにこの曲を演奏できるとは思いませんでした〜)。ブラームスはバッハ(とは限りませんが)のバス旋律を19世紀風に変形しつつ、8小節パターンを堅持。パターンが崩れるのは、最後の第30変奏だけです(4小節拡大されて、Più Allegro のコーダに突入)。

この曲が面白いのは、これだけ律儀にパッサカリアの形を守りながら、実はソナタ形式の枠組みを取り入れているところ。主題と30の変奏は、提示部・展開部・再現部に分けられます。と書くと、ゆっくりした長調部分からテンポが戻り、短調のパッサカリア主題が再登場する第16変奏(129小節)が再現部!と思う方が多いと思います(ミ−ファ♯−ソ−ラと上がって行く主題に、ラ−ソ−ファ♯と下りてくる対旋律が加わるところ、ゾクゾクしますね!)。でも、これはひっかけ。同じ形ですが、ここは展開部の開始部分です。

じゃあ再現部はどこから? それは第24変奏(193小節)。展開部の開始のように区切りがはっきりわからない??! そんなことはありませんよ。前の小節の3拍目は、全ての楽器が休むゲネラル・パウゼ。展開部ではずーっと、何かしら音が鳴っていました。完全な空白はこのs1拍だけです。

それに、毎回異なる変奏のように聴こえますが、ここではちゃんと提示部が再現されていますよ。わかりやすいのは、第25変奏のオーボエとヴァイオリン(とファゴット)。mpff に変わっているものの、第2変奏の木管メロディーの再現です(譜例1左ページ参照)。第26変奏のホルンも、第3変奏の木管の再現(でスタッカート→ でレガート。譜例1右ページ参照。E管なので実音はミ−レ♯−ミ−ファ♯ー)。第24変奏でも第1変奏のホルンのリズムなどが再現されていますし、第27、28変奏の低音のオクターヴ跳躍は第4変奏の低音と関係していますね。第1変奏に先立つ主題は第23変奏に反映されていますが、これだけ先走って(??)展開部に食い込んでいるのも芸が細かいところ。区分をあいまいにするのもロマン派風なのです。

というわけで、この終楽章は第2主題の再現を欠くソナタ形式とみなすことが可能。バロック時代の変奏形式パッサカリアの形で作曲しつつ、古典派時代(以降)に使われたソナタ形式にも嵌め込んで、二重の意味を持たせているのです。構築型の作曲家ブラームスならではの終楽章! さらに……(つづく)。

譜例1:ブラームス作曲交響曲第4番終楽章(200〜14小節)

譜例1:ブラームス作曲 交響曲第4番 終楽章(200〜14小節)

Comments closed