20. 5月 2015 · (237) BWV Anh. の Anh とは?:バッハの作品番号 はコメントを受け付けていません。 · Categories: 聖フィル♥コラム · Tags: ,

先日、「モテット《全地よ、主に向かって喜びの声をあげよ》BWV Anh.160」という曲目中の Anh. って何?と質問されました。Anh. は Anhang の略。英語なら appendix。補遺、付録という意味です。いったい何のおまけ?

BWV は、J. S. バッハの作品番号ですね。ビー・ダブリュー・ヴイとつい英語式に読んでしまいますが、ドイツ語の頭文字ですから、本来はベー・ヴェー・ファオと読むべきでしょう。ヴォルフガンク・シュミーダーが1950年(=バッハの没後200年)に出版した、『Bach Werke Verzeichnis(バッハ作品目録)』によります。BWV番号は、バッハ作品の演奏や研究の際に世界中で使われています。

シュミーダーはバッハの数多い作品をジャンル毎にまとめて目録化し、1から1080まで通し番号を付けました。声楽曲から始まります。BWV1〜224:カンタータ、BWV225〜231:モテット、BWV232〜243:ミサ曲とマニフィカト、BWV244〜249:受難曲とオラトリオという具合。器楽曲の最初はオルガン曲で、BWV525〜771。その後(BWV772〜994)にオルガン以外の鍵盤楽器(チェンバロなど)の曲が続くので、ピアノの初〜中級者の必須レパートリーであるインヴェンションには、意外に早い番号(BWV772〜786)が付いていますね。協奏曲や管弦楽曲は、最後の方の BWV1000番代(BWV1046〜51:ブランデンブルク協奏曲、BWV1066〜69:管弦楽組曲)。

作品の中には、帰属がはっきりしないものもあります。シュミーダーは、疑作や断片、楽譜が失われた作品、誤ってバッハ作とされた他人の作品などを Anhang 補遺に整理しました。有名(?!)な例が、BWV Anh.114のメヌエット ト長調。『アンナ・マグダレーナ・バッハのためのクラヴィーア小曲集』に記入され、バッハのメヌエットとして親しまれてきた「レーソラシドレーソッソ」ですが、1979年になって、バッハの友人でドレスデンのオルガニストであったクリスティアン・ペッツォルト(1677〜1733)の作と判明。コラム冒頭のモテットBWV Anh.160 は、バッハとテレマンが作った楽章を集めた曲でした。

バッハ作品目録の1番最後は、彼の未完の大作《フーガの技法》BWV1080だと思っていたら……。1990年に出版された目録の改訂版には、1950年以降の研究によってバッハの真作と認められた曲が、1080の後に追加されています。1985年にイエール大学所蔵の古文書中に確認されたオルガンのためのノイマイスター・コラール(BWV1090〜1120、ただし1096を除く)や、2005年5月17日にヴァイマールで自筆譜が発見された、ソプラノと弦楽器、通奏低音のためのアリア《すべては神とともにあり》BWV1127など。

現時点での最後は、BWV 1128。2008年3月15日に、ライプツィヒのオークションに出された品の中から発見された、オルガン・コラール《主が私たちのそばに立ってくださらなければ》に付けられました。研究が進み偽作であることや真の作曲者が判明する曲がある一方で、死後250年以上過ぎてもまだ新たな真作が見つかるのですから、ワクワクしますね。

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