06. 5月 2015 · (235) 《アルルの女》第2組曲よりメヌエット はコメントを受け付けていません。 · Categories: 聖フィル♥コラム · Tags: , ,

先週は聖フィル♥コラムをお休みしてごめんなさい。聖光学院管弦楽団 第12回定期演奏会 on 聖光ホームカミングデー本番当日だったからです。聴きに来てくださった方々、どうもありがとうございました。コラム恒例アンコール・シリーズ、今回はビゼー作曲《アルルの女》第2組曲第3曲のメヌエットについて。

フルートの穏やかなメロディーと、ハープのアルペジオ(分散和音)。ゆったりとしていてなんだか満ち足りた気分にさせる曲ですが、《アルルの女》の劇付随音楽として小編成オーケストラ用に作られた27曲(ほんの数小節のものも含めて)には、含まれていません。

1872年10月1日の初演で音楽が複雑過ぎると批判されたビゼーは、すぐに前奏曲、メヌエット(フルート&ハープのメヌエットとは別の曲)、アダージェット、カリオンをフル・オーケストラ用に編曲1。この《アルルの女》管弦楽組曲、翌月に演奏されて大成功します。2匹目のどじょうの(?!)第2組曲は、数年後に(ビゼーが既に亡くなっていたので)友人のエルネスト・ギローが組んだもの。

ギローは《カルメン》の台詞部分をレチタティーヴォに直し、グランド・オペラにした人でしたね((228) 《カルメン》音楽史クイズ参照)。彼は、《アルルの女》のパストラール、間奏曲、ファランドールに、ビゼーのなぜか《美しきペルトの娘》(1866)からメヌエットを加え、第2組曲としました。

《美しきペルト(英語ではパース)の娘》は、ウォルター・スコットの小説にもとづくオペラ。14世紀、スコットランド王国の首都パースが舞台です。カトリーヌ(英語ではキャサリン)とアンリ(ヘンリー)は恋人同士。でも、カトリーヌは美しいジプシー女マブがアンリの部屋から出て来たのを誤解し、アンリはロスシー公爵に言い寄られたカトリーヌが彼に会いに出かけたと誤解し(実は公爵の愛人であるマブの変装)、2人とも相手が不貞を働いたと絶望。アンリは決闘することになるやら、カトリーヌは狂ってしまうやらの紆余曲折の末、ハッピー・エンドに。

メヌエットの原曲は、第3幕でロスシー公爵がカトリーヌ(の変装をしたマブ)と歌う〈やっと二人きりだ Nous voila seuls〉。でもギローは、大事な二重唱のメロディーを省略。あのしっとりしたフルートや堂々とした中間部が対旋律だったなんて、驚きです(原曲を聴くと、歌が邪魔みたいな不思議な感じ……)。

《美しきパースの娘》といえば、〈小さな木の実〉を思い出す方も多いと思います。原曲は、第2幕でアンリがカトリーヌの愛を取り戻そうと歌うセレナード〈誠実な恋人の声に A la voix d’un amant fidèle〉(旋律は、ビゼーの初期のオペラ《ドン・プロコピオ》からの借用。日本語の歌詞は、オペラとは無関係)。セレナードは前奏曲、行進曲、ジプシーの踊りとともに《美しきパースの娘》管弦楽組曲に収められました。ギローは、メヌエットがこの組曲から漏れているのを残念に思って、《アルルの女》第2組曲に入れたのでしょうか?(下の動画では、メヌエットの原曲は1:28:55〜、セレナードの原曲は1:05:50〜と2:21:40〜。字幕はスペイン語)。

  1. MacDonald, Hugo, ‘Bizet,’ New Grove Dictionary of Music, 2nd ed., vol. 3. Macmillan, 2001, p. 646.

Comments closed