08. 10月 2014 · (206) ワルツの世紀 はコメントを受け付けていません。 · Categories: 聖フィル♥コラム · Tags: , ,

台風接近による暴風雨と京浜東北線の乱れにもかかわらず、聖フィル第11回定期演奏会にいらしてくださった皆さま、どうもありがとうございました。田部井剛先生の指揮、梅津美葉さんのしなやかで情熱的なヴァイオリン、楽しんでいただけましたでしょうか。コラム恒例アンコール解説シリーズは、(練習中に飛んで来た田部井先生のご質問への回答も兼ねて)ワルツについて。

(129) ワルツとチャイコフスキーに既に書いたように、今回のアンコール《眠りの森の美女》第1幕のワルツだけではなく、チャイコフスキーは三大バレエ全てに優美なワルツを書いています。オペラ《エウゲニー・オネーギン》第2幕冒頭、タチアーナの命名日を祝う舞踏会シーンのワルツも有名。チャイコフスキーって、ワルツのスペシャリスト??

1814〜15年のウィーン会議によって、ヨーロッパ中に広まったワルツ。ウィンナ・ワルツ(ランナー、ヨハン・シュトラウス父子が大成)に代表される舞踏会用ワルツは、オペレッタにも取り入れられ、ウィーン以外でも「肩の凝らない」クラシックの重要なレパートリーに。《ドナウ川のさざなみ》(イヴァノヴィチ)、《スケーターズ・ワルツ》(ヴァルトトイフェル)、《金と銀》(レハール)など、ご存知でしょう。

バレエではチャイコフスキー以外に、ドリーブ《コッペリア》や《シルヴィア》。オペラではグノー《ファウスト》の〈ファウストのワルツ〉、ヴェルディ《ラ・トラヴィアータ》の〈乾杯の歌〉、プッチーニ《ラ・ボエーム》の〈ムゼッタのワルツ〉、リヒャルト・シュトラウス《サロメ》の〈7枚のヴェールの踊り〉、《バラの騎士》の〈オックス男爵のワルツ〉などが浮かびます。

実用ではない芸術音楽としてのワルツと言えばショパンのピアノ用ワルツですが、シューベルトはそれより前に、演奏会用ワルツをたくさん作りました。ヴェーバーの《舞踏への招待》の「序奏+いくつのワルツ+コーダ」という形は、後にウィンナ・ワルツの定型に。リストは《メフィスト・ワルツ》が有名。4手用ワルツ集を出版したのは、ヨハン・シュトラウスと親しかったブラームス((58) ヨハン・シュトラウス(2世)とブラームス参照)。彼は、4重唱曲集《愛の歌》《新・愛の歌》を、全て(それぞれ18曲と15曲)ワルツで作曲しているそうです。

オーケストラ曲では、ベルリオーズの《幻想交響曲》第2楽章〈舞踏会〉、前回の定演で演奏したサン=サーンスの《死の舞踏》、シベリウスの〈悲しいワルツ〉(オペラ《クオレマ》から演奏会用に編曲)、ラヴェルの《高雅で感傷的なワルツ》や《ラ・ヴァルス》。19世紀から20世紀初めにかけて活躍した作曲家のほとんどが、オーケストラや器楽のためのワルツを手がけています。

でも、絶対音楽である交響曲や室内楽にワルツを取り入れたのは、チャイコフスキーくらい。今回のメイン、交響曲第5番第3楽章や、弦楽のためのセレナード第2楽章がそれ(《幻想交響曲》は標題音楽。絶対音楽ではありません。(173) 《幻想交響曲》の奇妙さ参照)。メヌエットやスケルツォと同様に3拍子とはいえ、完全に意表を突く組み合わせ。それでいて、特に違和感はありません。これだけでも、ワルツのスペシャリストと呼べるかもしれませんね。

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