02. 7月 2014 · (192) こんなにある! オルフェウスのオペラ はコメントを受け付けていません。 · Categories: 聖フィル♥コラム · Tags: , , ,

(143) オーケストラの起源で取り上げたモンテヴェルディの《オルフェオ》(1607)は、ギリシア神話のオルフェウスの物語。オルフェウスは、鳥や魚も耳を傾けるほどのたぐいまれな歌い手+竪琴の名手。紀元前3世紀の『アルゴナウティカ』には、オルフェウスの歌と竪琴が、航海する人を美しい声で惑わす海の怪物シレーヌ(セイレーン。上半身は人間の女性の姿)や他の危機から、仲間の乗組員たちを救ったと書かれています。

蛇にかまれて死んだエウリディーチェを、黄泉の国から取り戻すチャンスを与えられるエピソードは、モンテヴェルディ以外にもオペラの題材として取り上げられています。楽譜が現存する最古のオペラ《エウリディーチェ》(カメラータのメンバーであるペーリとカッチーニによる共作、1600年、フィレンツェ)も、このストーリー。オペラ成立期に限りません。グルックの《オルフェオとエウリディーチェ》や、オッフェンバックの《地獄のオルフェ(天国と地獄)》が有名ですが、実は主要なものだけでもこんなにあるのです!1

17世紀:ペーリ(1600)、カッチーニ(1602)2、モンテヴェルディ(1607)、ベッリ(1616)、ランディ(1619)、ロッシ(1647)、レーヴェ(1659)、サルトーリオ(1672)、ロック(1673)、クリーガー(1683)、ドラーギ(1683)、シャルパンティエ(c1685)、サバディーニ(1689)、リュリ(1690)、カイザー(1698)、カンプラ(1699)

18世紀:ウェルドン(c1701)、フックス(1715)、テレマン(1726)、ランプ(1740)、ラモー(c1740)、リストーリ(1749)、ヴァーゲンザイル(1750)、グラウン(1752)、グルック(1762、パリ版は1774)、バーテレモン(1767)、トッツィ(1773)、ベルトーニ(1776)、アスペルマイアー(1780、メロドラマ、消失)、ベンダ(1785)、ナウマン(1786)、ディッタースドルフ(1788)、ライヒャルト(1788、ベルトーニの改作)、トレント(1789)、ハイドン(1791)、パエール(1791)、ヴィンター(1792)、デエー(1793、グルックのパロディー)、ドーヴルニュ(1797前)

19世紀:カンナビヒ(1802)、カンネ(1807)、カウアー(1813)、オッフェンバック(1838)、ゴダール(1887)

20世紀:シルヴァ(1907)、ドビュッシー(1907−16、オルフェウス王)、ロジェ=デュカス(1913)、マリピエロ(1923)、ミヨー(1923)、クルシェネク(1926)、カゼッラ(1932)、バードウィッスル(1986)

えーっ、こんな人も!? というような作曲家(テレマンとかラモーとかハイドンとか)もいますが、名前しか知らない人や、名前も知らなくてカタカナでどう書くのか困った人も3

古代ギリシア・ローマ文化の再生を目指したルネサンス時代に限らず、目に見えない音楽が持つ大きな力の具体化とも言うべきオルフェウスのエピソードが、総合芸術であるオペラの題材として何度も選ばれたのは、当然ですね。オペラ以外でもオルフェウスを題材に、ガレンベルク(1831)やストラヴィンスキー(1948)がバレエ、リストが交響詩(1834、グルックのオペラの前奏曲として。後に2台ピアノ用と連弾用に編曲。さらに同オペラの後奏曲も)、ベルリオーズ(1827)やティペット(1982)が声楽曲を書いています。

図1:トラキア人たちの中のオルフェウス。クラテール(広口のかめ)、紀元前440年、ジェーラで出土

図1:トラキア人の中のオルフェウス。クラテール、紀元前440年、ジェーラで出土

  1. Anderson, Robert, ‘Orpheus, 2: Later Treatments,’ The New Grove Dictionary of Music, 2nd ed., vol. 18, Macmillan, 2001, 753.
  2. 1600年の初演後、ペーリとカッチーニはそれぞれ自作を完成させました。
  3. ウィキペディア英語版の List of Orphean operas(http://en.wikipedia.org/wiki/List_of_Orphean_operas)には、21世紀の作品も含め、さらに多くリストアップされています。