26. 2月 2014 · (174) オーケストラの楽器配置(パリ、1828) はコメントを受け付けていません。 · Categories: 聖フィル♥コラム · Tags: , ,

以前(96) オーケストラの楽器配置で、現在の配置の元になったと言われるメンデルスゾーンの「完全に革命的」な楽器配置(ライプツィヒ、1835)をご紹介しました。ヴァイオリンのファーストとセカンドの位置が逆だったり(現在でもこの配置で演奏しているところもありますが)、ヴィオラがとばされて他の弦楽器よりも後ろだったり、なかなか興味深い配置でしたよね。

今回は、パリの配置について。ベルリオーズが1828年にベートーヴェンの《英雄》と《運命》を聴いて大きな影響を受けた((173) 幻想交響曲の奇妙さ参照)、パリ音楽院演奏協会(Société des Concerts du Conservatoire Impérial de Musique、直訳すると帝国音楽院演奏会協会)オーケストラの配置図(図1)1。指揮者アブネックが設立の1828年に採用したと考えられる配置です。

図1:パリ音楽院演奏協会オーケストラ楽器配置、1828年

図1:パリ音楽院演奏協会オーケストラ楽器配置、1828年

1番客席側にソプラノとテノール、間にソロ歌手、その後ろに指揮者(ソロさんたちは、振り返らないと指揮が見えませんね……?)。ソプラノの後ろにファースト・ヴァイオリン、テノールの後ろにセカンド・ヴァイオリンが向かい合い、その間にバス。バスの前にピアノ、後ろにハープ。(89) どこで弾いていたのか?に書いたように、ステージ手前が合唱団と独唱者の場所であることは、パリも変わりません。おもしろいのは、ハープがほとんどの楽器よりも前に置かれていること。よく聴こえるように??

舞台の奥は4段になっていて(ドイツでは、せり台は使われなかった2)、1段目は左からクラリネット2、オーボエ2、フルート2、その隣は読みにくいのですが、ピッコロ1ではないかと思います。その右にチェロ、コンバス、チェロ、コンバス、チェロ、チェロ。2段目はホルン4、バズーン(バソン)4、チェロ4。3段目はトランペット2、コンバス3、チェロ4、コンバス2。1番上はトロンボーン3、後ろの消えかかっているのは低音楽器オフィクレイド。そしてティンパニ、打楽器、コンバス2。

チェロとコントラバスは混ざり合って、右側のあちこちに。ホルンの位置はよく考えてありますね。木管と合わせやすいと同時に、トランペット、トロンボーン、オフィクレイドと続く、金管楽器のライン上。同オーケストラの1840年の楽器配置(図2)も、ピアノ、ハープ、ピッコロ、オフィクレイド、打楽器が省かれている程度で、配置自体は変わりません3

あれれ、何か足りないような……。そうか、ヴィオラがとんでる(また!?)。ヴィオラはどこ??? えええっ、ヴィオラが無い! ヴィオラ、いないのーー?!!

と思ったのですが、いました。フランス語でヴィオラは alto。ハープの後ろに1列に10人並ぶのは、合唱団のアルトではなく、弦楽器のヴィオラ(つまり、合唱団はソプラノ、テノール、バスの3声なのですね)。舞台の一番後ろ、せり台のすぐ手前。音は聴こえにくそう(チェロより人数が少ないし)ですが、ヴィオラ、とばされてはいません。当然と言えば当然ですが、よかったですね〜。

図2:パリ音楽院演奏協会オーケストラ楽器配置、1840年

図2:パリ音楽院演奏協会オーケストラ楽器配置、1840年

  1. Koury, Daniel J., Orchestral Performance Practices in the Nineteenth Century. Univ. of Rochester Press, 1988, p. 204 (source: Elwart, Histoire de la Société des Concerts du Conservatoire Impérial de Musique, 2e éd. Paris, Castel, 1864, pp. 114-15).
  2. 前掲書、p. 201.
  3. 前掲書、p. 205 (source: Carse, Adam, The Orchestra from Beethoven to Berlioz. New York: Broude Bro., 1949, p. 476).

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