11. 9月 2013 · (150) 歌が不可欠? オーケストラ演奏会のプログラム (1) はコメントを受け付けていません。 · Categories: 聖フィル♥コラム · Tags: , , ,

18世紀と19世紀のオーケストラ演奏会のプログラムを比較してみましょう。70年もの時が過ぎているとは思えないほど、よく似ていることに驚かされます。

1、ザロモン予約演奏会、1791年5月27日、ロンドン、ハノーヴァー・スクエア・ルーム

「序曲」=交響曲      (ロセッティ)
女性歌手によるアリア
ヴァイオリン協奏曲     (ザロモン、独奏も)
男性歌手によるアリア
フルートとファゴットのための協奏曲
ーーーーー(休憩)
「序曲」=交響曲      (ハイドン)
「カンタータ」オペラ《哲学者の魂》より(ハイドン)
新しい弦楽四重奏曲     (ハイドン)
女性歌手によるアリア
ペダル・ハープのための協奏曲(アンヌ=マリー・クルムフォルツ、独奏も)
男性歌手によるレチタティーヴォとアリア
「フィナーレ」=交響曲の楽章(ロセッティ)

2、フィルハーモニック協会演奏会、1861年3月18日、ロンドン、ハノーヴァー・スクエア・ルーム

《サウル》から死者の行進、ケント公爵夫人追悼のため(ヘンデル)
交響曲第2番         (ベートーヴェン)
《忠実な妻》からアリア   (パチーニ)
ロマンス          (メルカダンテ)
序曲《オイリアンテ》    (ヴェーバー)
ーーーーー
交響曲第3番《スコットランド》(メンデルスゾーン)
「スティリアのメロディー」より2重唱(ベネディクト)
序曲《ウィリアム・テル》  (ロッシーニ)

1は、(19) 独り立ちする交響曲の註であげた1795年のザロモン予約演奏会と同様に、1番の「売り」であるハイドンの新作交響曲をプログラムの真ん中に据えたもの(交響曲=序曲ですから、休憩後の第2部であろうと、1曲目という位置は譲れません!)。聞いても聞かなくてもよかった「交響曲」が、それを目的に音楽会に来るジャンルに格上げされた、記念すべき演奏会シリーズでしたね。

曲数が多くしかも雑多なのは、この時代、演奏会の数が非常に少なかったから。その、数少ない演奏会を聴きに集まる様々な好みを持つ人々の全てが、何かしらの曲で満足できるようにという配慮です。

2では、曲数は減りましたが、器楽曲と声楽曲が交互に並ぶ構成は変わりません1。ロンドンに限らずライプツィヒやパリでも、オーケストラの演奏会なのに声楽曲が含まれるプログラムは、19世紀後半でもみられます。ヨーロッパの鉄道網が整備されたために、1830年代にはシーズンごとの契約だった出演歌手が、1、2週間ごとに替わるようになったそうですが2。でも、一見よく似た構成に見える上の2つのプログラムには、実は大きな違いがあります。それについては改めて。

  1. 1曲目のハイドンは追悼のために加えられた曲。本来のプログラムは交響曲からでしょう。
  2. Weber, William, The Great Transformation of Musical Taste. Cambridge University Press, 2008, p. 264.

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