06. 3月 2012 · (71) 続・ハープは重い? はコメントを受け付けていません。 · Categories: 聖フィル♥コラム · Tags:

素朴な疑問:弾くとき、ハープはいったいどれくらい重いのか? (70) に続き、突撃取材のご報告です1。まさに、百聞は一見に如かずでした。

たとえば7本のペダル。等間隔、左右対称、左側からドレミファ順に並んでいるのだと思い込んでいたのですが……。左足で操作する3本と右足の4本は、少し離れていました(図1。全ての図は、クリックすると拡大します)。ピアノのペダルよりも細身。左3本は手前からシドレ、右4本は手前からミファソラのペダルだそうです。しかも、こんなところに大きな共鳴孔が!

②:7本のペダル

図1:ハープ、7本のペダル

グランド・ハープには、1810年にパリでエラールが特許を取った、2段階に踏み込める機構が使われています。ダブル・アクションと呼ばれ、ペダルを1段階踏むと半音、さらに踏むともう半音、高い音が出ます2。図2は左から順に、ペダルを踏んでいないとき、1段踏んだとき、2段踏んだときの状態。ピアノのペダルのように踏み続ける必要はありません(慣れないと、角にひっかけるのがむずかしい)。これは左側の3本なので、左の踏んでいないのがレ、1段踏んだのがド、2段踏んだのがシのペダルです。

図1:ハープ、左からペダルを踏まないとき、1段踏んだとき、2段踏んだとき

楽器上部のネック(素朴な疑問その2:なぜここが首なのか?)には、2本のピンを持つ小さなディスクが、各弦に2つずつ付いています。ペダルを踏むとディスクが回転し、ピンが弦をひっかけます。図3は、ドのペダルを1段、シを2段踏んでいる図2の状態のディスク。中央の赤いドの弦は、上のディスクに付いたピンが、その左隣のシの弦は、上下両方のディスクのピンがひっかけていますね(クリックで拡大し、白い→部分をご覧ください)。このため、ドは半音1つ、シは半音2つ分高い音になるのです。ペダルを踏んでいないレミファソラの弦は、ディスクのピンに触れていません(ドの下のディスクのピンも、弦から離れています。に注目)。

④:ペダルを踏んだときのディスク

図3:ハープ、図2状態でのディスク

しくみがわかったところで、いよいよ楽器を構えてみます。このハープの重量は32kg。お米3袋分の重さが、(かつぎ上げるわけではありませんが)片方の肩に寄りかかってくるのー?!  恐る恐る、先生が教えてくださったふうに楽器を傾けると……。あれれっ? 重くない! 重さが肩にかからないように、重心が設計されているのだそうです(「そうでなければ、楽器と人が一体になった演奏はできません」と、西村光世先生)。確かに、ちょっと気が緩んで姿勢が悪くなると、いつの間にか右肩にずっしりと重みが……。

右側の4本のペダルは、楽器の蔭になって全く見えません。どうやって動かすの!? とパニックしていたら、「パイプ・オルガンの足鍵盤と同じ」と先生。なるほど。左右どちら側のペダルも、いちいち足元を見ないで、ちょっと触れて確かめたりしながら感覚で操作するのですね(留学中ずっとパイプ・オルガンを習っていたので、すとんと納得)。

図4:ハープ、ペダルお片づけ

紀元前3000年以上前のメソポタミアやペルシアで描かれた図像が伝わる、長い長い歴史を持つハープ。突撃取材による結論は、「弾くとき、ハープは重くない」でした。百聞は一触(?!)に如かず。ちなみに、ペダルは下に踏み混むだけでなく、上に折れるのだそうです(図4)。ピアノのペダルでは有り得ません。なんだか、かわいいですね。

  1. お世話になりました西村光世先生(西村光世音楽事務所)、本当にありがとうございました。
  2.  (70) では説明しませんでしたが、実は、ペダルを全く踏まない状態では、ピアノの白鍵盤のハ長調ではなく、全部の音がそれより半音ずつ低い、変ハ長調の音階が出ます。7つのペダルをすべて1段踏み込むとハ長調、さらにもう1段踏み込むと、嬰ハ長調の音階になります。

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