23. 3月 2011 · (20) 川畠成道先生 特別インタビュー はコメントを受け付けていません。 · Categories: 聖フィル♥コラム · Tags: ,

突然ですが皆さま、川畠成道先生が聖フィル♥コラムのために、単独インタビューに応じてくださいました! なーんて、そんな大げさなものではありませんが、川畠先生が聖フィルとの初練習にいらした帰り、偶然に偶然が重なって途中駅までご一緒することになり、電車の中でお話を伺うことができたのです。不躾なお願いを先生は快くお受けくださり、丁寧に答えてくださいました。川畠先生、どうもありがとうございました1

一緒にいた団員の forza-ugatti 氏とインタビューしたのですが、なにしろ突然のことで、録音はもちろん、楽器をかかえていたためにほとんどメモをとることもできませんでした。だいたいこんな内容だったという感じでお読みください。その場で思いついた、ありきたりの質問ばかりで、お恥ずかしい限りです(今になると、あれも聞きたかった、これも聞いておけばよかったと、いろいろな質問が浮かぶのですが……)。質問の順番は変えているものもあります。まず最初に先生の方から、聖フィルは毎週練習するのか、ブルッフはどれくらい練習したのかという質問がありました。

――アマ・オケとの共演は、聖フィルが初めてですか?

川畠先生(以下敬称略) いいえ、初めてではありません。回数はそれほど多くないけれど。

――ブルッフの協奏曲でここが好きという箇所はありますか?

川畠 (かなり考えて)3楽章でしょうか……。(是非お聞きしたかった質問でしたが、いきなり川畠先生を当惑させてしまったようです。先生、ごめんなさい。)

――3楽章はいちばん難しいのではありませんか?

川畠 ブルッフはヴァイオリン協奏曲としてよくできています。「指にはまる弾きにくさ」です。(難しいけれどそれに見合った演奏効果があるということ。名言「指にはまる弾きにくさ」だけは、forza-ugatti 氏にその場でメモしていただきました。)

――それでは、ブルッフの中でここが難しいという箇所はありますか?

川畠 (これもかなり考えて)たとえば1楽章の最後(最初の旋律が戻って来るところ)など、緊張します。

――初めてブルッフを弾いたのはいつ頃ですか?

川畠 子供の頃ではなく、デビュー後の98年だったと思います。

――好きなヴァイオリン協奏曲は?

川畠 メンデルスゾーンと……(間)ベートーヴェン。

――プロとアマとの練習の違いは?

川畠 プロだとリハーサルの時間が少ない。1回さらっと合わせるくらいのときもあります。アマだと(聖フィルのように)時間をたくさんとってくれます。

――長時間の練習で疲れませんでしたか?

川畠 全然。いつも立ちっぱなしで練習するので。

――どれくらい練習するのですか?

川畠 何もない日は7、8時間は弾いていますね。演奏会前など、さらう曲が多ければ長くなります。

――好きなことは?

川畠 食べること。音楽家はみんなそうじゃないですか?

――お好きな食べ物は?

川畠 (付き添って来られた事務所の齋藤さんが、笑いながら「甘いもの、好きだよねー!」 頷く川畠先生)

――お酒は?

川畠 (なぜかすごく躊躇)好きです……。

――食べることがお好きなのに、なぜそんなにスリムなんですか?

川畠 かなりの量を食べますが、ぜんぜん太らないですね。体を動かすからじゃないですか。毎日ダンベル体操しています。今朝も練習に来る前にやってきました。

――お好きなヴァイオリニストは?

川畠 曲によって異なります。(愚問でした。反省!)

――たとえばブルッフの演奏なら誰ですか?

川畠 (躊躇なく)ハイフェッツ!

――そういえば、ミルシュタインがお好きと書いていらっしゃいましたね。

川畠 そうです。古い人をよく聴きます。生きているヴァイオリニストも聴きますけれど。

――音楽をどのように作るかについてですが、CDを参考にするのですか?

川畠 音楽を聴いたり、細かく分けてさらっているときに考えるのはもちろんですが、楽器を弾いていないときやリラックスしているときなど、音楽に触れていないときに考えることも多いですね。

――今回のブルッフの協奏曲については、すでに考えられていますか?

川畠 まだ全然考えていません。全部、これから考えます。(forza-ugatti 氏の補足:オケと合わせてから考える、つまり、自分がこう弾きたいから合わせてくれという、ソリスト主導の立場ではなく、あくまでオケといっしょに音楽を考えて作って行くというニュアンスでした。)

――ご自分を楽観的な性格だと思いますか?

川畠 いえ、楽観的ではないですね。

――リラックスするためにCDを聴くことはありますか?

川畠 ヴァイオリンの曲ではどうしても分析的に聴いてしまうので、あまりリラックスできないんです。ピアノなどのCDを聴くことはあります。自分で楽器を弾いている時間が長いので、それほど聴きません。

――最後に聖フィルにメッセージをお願いします。

川畠 楽しんで弾けるようにして欲しいです。そのためには、よくさらって技術的な問題を超えることが大切です。これがとても大変なことなんですが。でも、技術的な問題を解決することと、音楽を楽しむことは(一方をマスターした上で先に進むというような)段階的なものではなく、平行して対処すべきことです。

川畠先生はたくさんの質問に対して、言葉を慎重に選びながら答えてくださいました。本当にどうもありがとうございました。団員の皆さん、川畠先生に応えることができるよう、しっかり練習いたしましょう!

ここで心に留めておかなければならないのが、「聖フィルへのメッセージは?」という最後の質問に対する先生のお答えです。「楽しんで弾けるように」と先生は望んでおられます。聖フィルの皆さん、楽しんで弾いていますかー? 楽しむことは、音楽表現において最も大切なことです。でも、つい忘れがちですよね。それどころではない、と言うか。

次回のコラムは緊急提言として、音楽の本質にも関わるこの川畠先生からのメッセージを考えてみたいと思います。

  1. このコラム執筆のためにお世話になった方々に、お礼申し上げます。たくさんの質問に答えてくださった川畠先生、取材(?!)を許可してくださり、原稿チェックや連絡のためにお世話になった、川畠成道音楽事務所の齋藤陽子さん、一緒にインタビューし、内容を確認してくださった forza-ugatti 氏、そして構成面でいつもながらの的確なアドヴァイスをくださったつぶ担さん、どうもありがとうございました。インタビューからまだ2週間ちょっとしか経っていないのですが、遠い昔のことのような気がします。ここに書き入れるのはふさわしくないかもしれませんが、東日本大震災に被災された方々への心からお見舞いと、被災地の一日も早い復興への祈りを、申し添えさせてください。