27. 12月 2010 · (8) 三大ヴァイオリン協奏曲雑感 はコメントを受け付けていません。 · Categories: 聖フィル♥コラム · Tags: , , , , , ,

最も人気のあるヴァイオリン協奏曲と言えば、やはりメンデルスゾーン。曲の開始直後に独奏ヴァイオリンが歌い始める、哀愁を帯びた第一主題、ぞくぞくしますよね。前回の演奏会で聖フィルが有森先生と共演させていただいた第1番のピアノ協奏曲を含め、メンデルスゾーンは他にも協奏曲を作曲しているのに、メンデルスゾーンの協奏曲と言えばこのヴァイオリン協奏曲。『メンコン(メンデルスゾーンのコンチェルト=協奏曲)』と呼ばれています。

でも最近、三大ヴァイオリン協奏曲の中にメンデルスゾーンが含まれているのを見ると、ちょっと待って!と言いたくなります。なぜなら、三大ヴァイオリン協奏曲は

  • ベートーヴェン
  • ブラームス
  • チャイコフスキー

のコンチェルトだったはずです。この3人は、生涯に1曲しかヴァイオリン協奏曲を作曲していません。また、それらがすべてニ長調であることも共通しています。

3人がニ長調でヴァイオリン協奏曲を作ったのは、単なる偶然ではありません。シャープが2つ付くニ長調は、ヴァイオリンの解放弦(そ、れ、ら、み)を全て含んでいて演奏しやすく、しかも倍音が最も豊かに響くため、ヴァイオリン協奏曲に最適なのです。

個人的には、メンコンも含めるのなら、チャイコフスキーを省いたりせずに、四大ヴァイオリン協奏曲と言ってほしいなあと思います。

ちなみに、メンデルスゾーンが選んだシャープ1つのホ短調やト長調、シャープ3つのホ長調も、ヴァイオリン協奏曲の調として良く使われます。逆にフラット系は、ヴァイオリンにはあまりありがたくないのですが、フラット1つのニ短調は、ラロの《スペイン交響曲》(タイトルは交響曲ですが、実際にはヴァイオリン協奏曲)や、シベリウスの協奏曲などに使われています。ニ短調で始まっても、終楽章をヴァイオリンに最適なニ長調で締めくくれるからでしょう。

ブルッフの1番のようなフラット2つの調のヴァイオリン協奏曲は、(モーツァルトの1番などの例もありますが)かなり珍しいと言えます。でもブルッフも、ト短調で始まった1番の3楽章をシャープ系のト長調で作曲し、華やかに締めくくっています。ヴァイオリンが響きやすいとは言えないフラット系を使った前半とのコントラストが、見事ですね。

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