20. 12月 2010 · (7) クリスマスに聴きたい音楽 part 2 はコメントを受け付けていません。 · Categories: 聖フィル♥コラム · Tags: , ,

クリスマスにちなんだ音楽2曲目は、聖光学院の建学精神であるカトリックの、主の降誕を祝うミサ曲『今日キリストが生まれたまえり Missa Hodie Christus natus est』です。作曲者は、私がペンネームとして名前をお借りしている、ジョヴァンニ・ピエルルイージ・ダ・パレストリーナ(1525?〜94)。100曲を超えるミサ曲を作曲し、対抗宗教改革(反宗教改革)時代のイタリア音楽界に君臨しました(彼については、いずれ改めてご紹介するつもりです)。

オーケストラのレパートリーは、ハイドン・モーツァルト・ベートーヴェンのウィーン古典派以降なので(聖フィル第3回定演のグルックのような例外もありますが)つい忘れがちですが、ソナタやコンチェルトなどの「器楽曲」が成立したのは、17世紀のバロック以降。それまでの長い長い期間、音楽と言えば声楽でした。西洋音楽はキリスト教の祈りを出発点にしていて、その祈りは最も神聖な「人の声」によって唱えられ、単純な節回しで歌われていたからです(グレゴリオ聖歌と呼ばれます)。

ミサ曲とは、キリスト教の典礼で1年を通じて変わらない祈りを、ひとまとめに作曲した音楽です。キリエ(憐れみの賛歌)、グローリア(栄光の賛歌)、クレド(信仰宣言)、サンクトゥス(感謝の賛歌)、そしてアニュス・デイ(平和の賛歌)の5部分から成り、歌詞(正確には祈りの文言)は、後のバッハのロ短調ミサ曲や、ベートーヴェンのミサ・ソレムニスでも全く変わりません。

パレストリーナのミサ曲『今日キリストが生まれたまえり』は、同名のグレゴリオ聖歌を用いた自作のモテットの旋律を下敷きにした、8声の無伴奏合唱曲です。8声というのは当時としては大きな編成で、イエス・キリスト誕生の喜びが、4声ずつ2グループの掛け合いで歌われます。ヴェネツィアで始まったコーリ・スペッツァーティ(複合唱とか分割合唱と訳されます)という新しい手法です。

機会がありましたら、是非お聴きになってみてください。オーケストラも楽しいですが、人の声ってやはり音楽の原点だと、改めて感じさせられます。下敷きのモテットの後半とミサ曲中の『グローリア』は、ここから試聴できます。

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