06. 12月 2010 · (5) 第2楽章の『運命動機』はどこ? はコメントを受け付けていません。 · Categories: 聖フィル♥コラム · Tags: ,

第2楽章の『運命動機』、探してみていただけましたでしょうか?

「23−4小節目、クラリネットとファゴットが受け持つ後半主題、らーらーしーどーーの8分音符3つ+4分音符1つのパターン!」 確かにここを挙げたくなりますよね。

でもむしろ、76−7小節でヴィオラやチェロが遠慮がちに弾く、下の譜例のリズムが大切なのです。チェロには88小節以降も出てきますね。この最初の4音が、『運命動機』の縮小バージョンです1。えーっ!? これがー!? と驚かれた方も多いと思います。

運命動機

運命動機縮小版

このささやくように弾かれる音型、仮に冒頭の32分休符無しにタカタカタッタッタと刻んだとしても、あまり変わらないのではないでしょうか。むしろ、その方が普通かもしれません。それを敢えて、最初にンという休みを入れたのは、やはりンタタタターンの『運命動機』を意識したからでしょう(だから、ここを目立つように弾くべきだ!と言っているのではありません。念のため)。

休符付きンタタタターンのパターンは第1楽章のまま。でもここでは、たとえば「ンらららふぁー…」と長い音の音高を下げずに、4つとも同じ音に変形し、この形が第3楽章に引き継がれます。下に、全楽章の変形をまとめておきました。ベートーヴェンは、『運命動機』をとても慎重に扱っていますね。

  • 第1楽章では『元祖運命動機』、つまりンタタタターンのリズムが保たれ、オープニングの「そそそみー」のように、最後の音がその前のタタタより低い音のパターンで使われる。
  • 第2楽章ではンタタタターンのリズムは保たれるが、4音全てが同じ高さで使われる。
  • 第3楽章では4音すべてが同じ高さで使われ、最初の休符ンが無くなる。
  • 第4楽章では休符が無くなったまま、4音すべてが異なる音の高さで使われる。

「それじゃぁなぜ、ンタタタタンと4つでやめなかったのか?」ですかー? そう聞かれても困りますが、2拍目の裏拍が欲しかったのでは? それに、4音だけではいかにも「ここに『運命動機』あります!」という感じで、露骨すぎちゃうのかもしれませんね……。

  1. 平野昭『ベートーヴェン事典』62ページ(東京書籍)。土田英三郎『音楽之友社ミニチュア・スコア』の解説ixページ。 ちなみに土田氏は、上記23−4小節目(らーらーしーどーー)などを「3つの8分音符とひとつの4分音符は 『運命動機』リズムの変形といえなくもない(下線筆者)」と、微妙な書き方をしておられます。

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